過去の研究からいわれていること
電磁波(EMF)の健康への影響については、長い間研究が行われてきました。特に、小児急性リンパ性白血病(ALL)の発症に関連する可能性が議論されています。一部の研究では、高圧電線や変電所の近くに住む子供たちが白血病を発症するリスクが高いことが報告されています。しかし、これらの結果は一貫しておらず、電磁波が白血病の発症にどの程度寄与するかについては、明確な結論は出ていません。

最新の論文からわかること
メキシコシティ大都市圏(GMC)における最新の研究が、ALLの地理的分布と環境要因について新たな視点を提供しています。この研究は、GMCに居住する18歳未満の子供たちのALL症例を対象に、空間クラスターを特定しました。1054例のうち、38.7%にあたる408例が8つの特定の地域に集中していることが明らかになりました。主要なクラスターでは、ALL発症リスクが1.61倍高いことが観察されました(p<0.0001)。
この研究の重要な発見は、これらのクラスターが電気設備や石油化学施設の近くに位置していることです。これにより、電磁波がALL発症に寄与する可能性が示唆されています。
【参照】
Front Oncol. 2024 Feb 14:14:1304633. doi: 10.3389
PubMed ID:38420017
石油化学施設と電気設備について
今回の研究では、ALL症例が石油化学施設や電気設備の周辺に集中していることが観察されました。石油化学施設からは、様々な有害物質が放出される可能性があり、これが健康に悪影響を及ぼすことが考えられます。また、電気設備から発生する電磁波も、長期にわたる曝露が健康に影響を与える可能性があり、細胞のDNAに影響を与えることで白血病のリスクを高めると考えられています。
このような環境要因がALLの発症リスクを高めている可能性が示されていることから、さらなる詳細な調査が必要です。
自分でできる対策と社会で取り組む必要がある対策について
個人でできる対策としては、以下の点が挙げられます:
- 居住地の選択: できるだけ電気設備や石油化学施設から離れた場所に居住する。
- 家庭内の電磁波対策: 電子機器の使用を最小限に抑え、寝室にはできるだけ電磁波を発生する機器を置かない。
社会全体で取り組むべき対策としては、以下の点が重要です:
- 規制の強化: 電気設備や石油化学施設からの有害物質や電磁波の放出を規制し、基準値を設定する。
- 公衆衛生の啓発: 電磁波の影響について広く啓発活動を行い、リスクの認識を高める。
- さらなる研究: ALLと環境要因との関連についてのさらなる研究を支援し、より具体的なデータを集める。
電磁波の影響についてはまだ多くの疑問が残されていますが、最新の研究は、これがALLの発症に関与する可能性を示しています。個人と社会が協力して、子供たちの健康を守るための対策を講じることが重要ですね。


