5G通信からの無線周波数がマウスの糞便の微生物と代謝物に与える影響

文献考察

最近の研究では、5G通信機器から発せられる無線周波数が、マウスの体内の微生物や体の化学反応にどのような影響を与えるかが明らかにされました。

5Gとは何か?

5Gとは、第五世代のモバイル通信システムのことで、私たちが普段使っているスマートフォンやタブレットがより速く、多くのデータを扱えるようにする技術です。しかし、この5Gからは「無線周波数」という形で電磁波が出ています。電磁波とは、電気と磁力が組み合わさって空間を伝わる波のことです。

研究の方法と結果

【参考文献】

タイトル:Effects of radiofrequency field from 5G communication on fecal microbiome and metabolome profiles in mice.

著者: Xing Wang ら 、掲載 2024 Feb 12;14(1)・PMID: 38347014

この研究では、成人の雄マウスを使って実験が行われました。マウスは二つのグループに分けられ、一つのグループ(RF群)は3週間にわたり毎日1時間、4.9 GHzという特定の周波数の無線周波数に晒されました。もう一つのグループは何も晒されないシャム群とされました。

電磁波が当てられた量は3週間、1日1時間、平均電力密度(PD)50 W/m²で4.9 GHz RFフィールドに全身曝露されました。

電磁波を当てる期間が終わった後、科学者たちはマウスの糞からどのような微生物が見つかるか、また、どのような化学物質が生成されているかを調べました。その結果、RF群のマウスでは、腸内の微生物の種類が減少し、微生物の組成が変わったことがわかりました。さらに、無線周波数曝露がマウスの腸内代謝物の種類と量に変化をもたらし、それによって体内の化学的バランスが変わったことがわかり、化学反応が影響を受けていることが示されました。

この研究が示すこと

この研究から、5G通信の無線周波数がマウスの腸内環境に変化をもたらす可能性があることが示されました。これは、同じような影響が人間にもあるかもしれないということを意味しています。しかし、人間における影響を正確に知るには、さらに多くの研究が必要です。5G技術の普及は多くの利便性をもたらしますが、その影響についても考える必要があります。

所見

無線周波数の非温熱作用といわれる作用についての研究は少ないため、この研究は貴重な情報でもあります。

ばく露(当てられた)電力密度は、私たちの生活環境と比べると、はるかに高い強さになります。そのため、単純に人への影響を考えることはできませんが、微弱で長期間ばく露させる研究は難しくなります。

一方で、携帯を常に持ち歩き、体に密接するような持ち運びをしていたら、24時間365日、電磁波のばく露を受けることになります。

少なくとも、電磁波が体内への影響を与える可能性があるかもしれないということを覚えておいて、日々の持ち運びや使い方に注意をするようにしましょうね。

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